令和6年度 諏訪赤十字 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 632 145 209 332 627 973 1446 2910 2786 813
令和6年度中に当院を退院した患者さんを年齢階級別に集計しました。退院患者さんの年齢構成をみると、その病院の特徴をある程度知ることが出来ます。日本人の高齢化が進み、どの病院においても、入院患者さんの高齢化が進んでいます。当院は、地域医療支援病院の指定を受け、地域がん診療拠点病院としてがんの治療を積極的に行っていることや、脳卒中センター、心臓血管センター、救命救急センターを有し、幅広い年齢層の患者さんを診療しております。85歳以上の超高齢者に対しても、診療科横断的に毎日カンファレンスを行ったうえで、ご本人、ご家族と相談し、標準治療の提供を目指しています。当院のような地方病院ほど、高齢化は進んでいますが、当院では広く患者を受け入れ、年齢のみで治療方法を判断することはありません。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア 15歳以上 鼠径ヘルニア手術等 114 4.50 4.54 0.00 70.01
060335xx0200xx 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 81 7.04 7.05 1.23 65.49
060035xx0100xx 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸切除術等 48 15.60 14.81 0.00 75.42
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 34 10.15 9.08 5.88 72.97
060150xx99xxxx 虫垂炎 手術なし 33 7.61 8.00 0.00 51.09
消化器外科における診断分類別の患者数について報告します。入院患者の中で、最も多い疾患は、成人(15歳以上)の鼠経ヘルニアに対して手術が行われた患者さんです。患者さんの平均年齢は70.0歳です。鼠経ヘルニアに対しては、多くの患者さんに対して鏡視下手術が行われており、術後疼痛の軽減など患者さんに有用な術式を選択し、平均在院日数も5日未満で全国平均より短くなっております。次に多いのは、胆のう炎などに対して腹腔鏡下胆のう摘出術などが行われた患者さんです。患者さんの平均年齢は65.5歳です。平均在院日数は1週間程度でこれは全国平均と同等となっています。3番目に多いのは、結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍に対して切除手術など行われた患者さんです。患者さんの平均年齢は75.4歳と比較的高齢者が多く、平均在院日数は2週間程度ですが全国平均よりもおよそ1日程度長くなっています。4番目に多いのは、腸閉塞の患者さんのうち手術を行わなかった患者さんです。腹部手術の合併症として頻度の高い疾患です。在院日数が全国平均よりも若干長期となっておりますが、これは当科では鼻から長い管を腸管に挿入留置するような苦痛を伴う治療をできれば避け、高気圧酸素療法のような比較的苦痛のない方法で治療を行うようにしているためだと考えます。5番目に多いのは、手術を行わなかった虫垂炎の患者さんです。上記の疾患の患者さんより明らかに若い方が多いです。最近の虫垂炎に対する治療はまず抗菌薬の投与などで保存的に治療をして少し時間を空けてから切除手術を行うやり方が主流になっており、当科でもその傾向があります。平均入院日数は全国平均よりは短めで、平均で1週間程度の入院期間となっています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術等 151 2.14 2.57 0.00 71.02
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 内視鏡的胆道ステント留置術等 111 9.01 8.88 5.41 82.35
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 38 7.71 7.60 2.63 72.26
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 32 18.78 13.66 21.88 85.06
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術等 29 5.41 7.45 0.00 73.31
消化器内科では内視鏡検査を主体に検査・治療を行っています。大腸ポリープ切除術は最も多い内視鏡的治療であり、検査時にポリープを見つけた場合にそのまま外来での日帰り治療も多く行っています。ポリープが大型であったり、多数の場合には入院で治療を行います。早期の胃癌・十二指腸ポリープに対しても内視鏡的に切除可能な症例では積極的に内視鏡的治療を行っています。総胆管結石や胆道腫瘍に対する治療も多く、受診された当日に緊急検査・治療を行うことは多くあります。主な内視鏡的治療ではクリニカルパスを導入しており、入院期間の短縮に努めています。血便で発症する大腸憩室出血については緊急で大腸内視鏡検査を行なって出血源を特定し、発見できればその場で止血処置を行います。出血源は同定できないことも多く、その場合には出血するたびに大腸内視鏡検査を繰り返して行う必要があります。高熱、炎症反応上昇を伴う急性腎盂腎炎などの尿路感染に対しては、入院で抗生剤の投与を行うことがしばしばあります。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 心臓カテーテル法による諸検査等 146 3.12 3.07 0.00 71.91
050130xx9900x0 心不全 手術なし 転院以外 123 18.58 17.33 4.88 85.89
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈ステント留置術等 95 4.39 4.18 0.00 72.67
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり (ペースメーカー移植術(経静脈電極)等) 67 11.87 9.59 2.99 80.73
050070xx03x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術等 66 4.29 4.47 0.00 63.59
①心不全で入院され、原因を調べるための精密検査を行った方の入院
②様々な原因で心臓の調子を落としている方の入院
③狭心症など心臓の血管である冠動脈に詰まりが見つかった方の入院
④脈拍が少なくなる不整脈のためのペースメーカーを植込んだ方の入院
⑤脈拍が多くなる不整脈の根治治療であるアブレーションを行った方の入院
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用等 124 5.65 6.81 0.81 75.21
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 前立腺針生検法 その他のもの等 110 2.30 2.45 0.00 73.13
11012xxx03xxxx 上部尿路疾患 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 68 2.12 2.40 0.00 63.28
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 64 4.20 5.16 0.00 62.81
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 49 10.37 11.11 0.00 71.06
悪性腫瘍(癌)の診断・治療が中心になっています。
前立腺腫瘍疑いで年間100例以上の前立腺生検が実施されています。
手術内容では膀胱腫瘍に対する経尿道的切除が多く、前立腺腫瘍に対しては全てロボット支援手術となっています。
2021年5月より腎・尿管結石に対する体外衝撃波や経尿道的結石破砕術も施行されています。
引き続きQOLを重視した医療を目指してゆきます。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工関節置換術等 138 26.37 25.29 69.57 83.13
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む) 人工関節置換術等 62 20.24 18.76 53.23 70.11
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む) 人工関節置換術等 50 24.36 21.38 64.00 78.56
070343xx99x1xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 脳脊髄腔造影剤使用撮影加算 35 2.00 2.56 0.00 72.74
160760xx01xxxx 前腕の骨折 骨折観血的手術等 35 2.91 5.95 2.86 68.17
救命救急センターがあり、地域医療の中核的役割を持つ当院には、四肢、脊椎の外傷患者が諏訪市はもとより諏訪市以外からも数多く救急搬送されてきますが、救急科、内科、麻酔科をはじめとした他科と速やかに連携をとり可及的早期に手術を中心とした治療を行っています。大腿骨近位部の骨折は内科的併存症を持つ高齢者が大部分ですが、この連携により併存症にも適切に対応でき安全に手術を行っています。
もともとの形成不全、外傷、関節リウマチ、骨頭壊死、加齢などの影響で関節軟骨が摩耗、消失することにより膝、股関節の痛みが強くなり日常生活の支障が大きくなった時には、主に人工関節置換の手術を行うことにより、疼痛が軽減し、日常生活動作の著しい改善を得ています。ナビゲーションシステムを使用し、より正確で、安全に、少ない侵襲で手術を行うように努めています。
脊柱管狭窄症などで腰から下肢にかけての症状が強く手術も考えられる時は、より正確に病態を把握するため1泊入院での脊髄腔の造影検査を積極的に行っています。
急性期病院である当院では、術後の長期の入院リハビリテーションや手術を必要としない保存的治療適応症例の入院加療は難しいため、連携している近隣のリハビリテーション病院に転院しての治療を継続しています。その際も転院がスムーズに進み、治療が滞らないように各病院との連携を密にしています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 終夜睡眠ポリグラフィー(1及び2以外) 72 2.00 2.02 0.00 59.46
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 71 7.45 8.16 0.00 75.68
040110xxxx00xx 間質性肺炎 55 20.18 18.68 7.27 79.51
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 36 14.44 13.41 11.11 77.14
0400802499x0xx 肺炎等 75歳以上 31 18.94 16.40 6.45 85.23
①睡眠時無呼吸症候群
②肺の悪性腫瘍
③間質性肺炎
当呼吸器内科で診療する疾患は、肺がん、呼吸器感染症(肺炎等)、間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、アレルギー性肺疾患、睡眠時無呼吸症候群など多岐にわたっています。医師、看護師だけではなく、薬剤師、理学療法士、栄養士、医療ソーシャルワーカーそして検査技師等とのチーム医療を実践しています。
①睡眠時無呼吸症候群が疑われる方には、睡眠ポリグラフ検査を1泊2日の入院で行います。診断後、持続陽圧呼吸療法(CPAP)を導入された方には、地域のクリニックでの継続治療をお願いしています。
②肺がん治療では、呼吸器センターを中心に呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科が密に連携し、本人やそのご家族のご希望を尊重しながら一人ひとりに最も適した治療方針を決定していきます。高齢化が進む一方で、薬物療法は複雑化しています。新たな治療の開始時には多職種でサポートしながら、適切かつ安全な治療を進めています。
③間質性肺炎は、特発性(原因不明)・膠原病性・薬剤性など原因も様々です。ステロイド治療などを要する場合、治療効果判断や副作用への対応も必要となり、通常の肺炎と比較し入院期間が延長します。適応症例では、積極的に抗線維化薬治療も行っています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害 2500g以上 手術なし 149 6.94 6.11 1.34 0.00
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 50 5.18 6.22 2.00 1.08
0400801199x0xx 肺炎等 15歳未満または市中肺炎等 1歳以上15歳未満 手術なし 40 5.85 5.61 5.00 7.03
150040xxxxx0xx 熱性けいれん 34 3.06 3.51 2.94 2.09
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 28 3.50 5.55 0.00 4.39
当院は地域周産期母子医療センターに指定されており、新生児集中治療室(NICU)を有し、長野県立こども病院や信州大学医学部附属病院とタイアップして、ハイリスク分娩に対応し、早産児、低出生体重児・極低出生体重児、呼吸障害を認めた児等に対する新生児医療を行っています。また、地域の産科施設で出生し、治療が必要となった新生児の治療受け入れを行っております。
小児科病棟では、地域の診療所から紹介いただく外来治療が困難となった肺炎、気管支炎、上気道炎や小児喘息等の呼吸器疾患のこどもたち、胃腸炎、嘔吐症などで脱水症を起こしてしまったこどもたち、発熱などで痙攣を起こしてしまったこどもたち、その他の入院加療が必要なこどもたち、当院の救命救急センターに救急搬送されてくる小児患者を受け入れ、入院治療等を行っています。また、諏訪地区における休日夜間の救急対応可能な病院として、地域医療の重要な役割を担っています。また、低身長症の精査や食物アレルギー児に対する食物負荷試験など、各種検査入院を行っています。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99xBxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし ブレンツキシマブ ベドチン等 100 11.98 12.23 0.00 77.95
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし リツキシマブ 31 10.00 8.65 3.23 80.84
130020xx99x4xx ホジキン病 手術なし ブレンツキシマブ ベドチン 30 5.60 10.85 0.00 65.93
130060xx99x4xx 骨髄異形成症候群 手術なし ビダーザ 29 12.03 9.72 3.45 80.83
130030xx99x6xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし メトトレキサート大量療法(非ホジキンリンパ腫に対するもの) 28 10.18 15.67 3.57 69.54
当科では、血液内科領域における3大がんである「急性白血病」「悪性リンパ腫」「多発性骨髄腫」を中心に悪性・良性問わず血液疾患全般の診療を行なっております。「悪性リンパ腫」に関しては最新の分子標的薬や二重特異性抗体を用いた治療を導入し、最新の知見やエビデンスに基づいた治療を行なっています。また高齢化社会を反映して「急性白血病」の前段階とされる「骨髄異形成症候群」の患者様が増えており、高齢者の方でも生活の質をできるだけ保てるような輸血療法を軸とした保存的治療を行い、治療適応のある患者様にはアザシチジンを用いた治療を積極的に行なっていて、患者様の状況に応じた適切な医療が提供できるように日々努めております。治療方針は血液内科医師によって毎日行われるカンファレンスで議論され決定されますが、近年ではA C P(アドバンスドケアプランニング)という、自分の生き方や治療のあり方をご自分と医療者側とで常に相談しながら進めていくといった考え方を取り入れて、より患者様の生き方に寄り添った治療ができることを大切に考えています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 50 7.88 9.84 0.00 57.38
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 子宮附属器腫瘍摘出術等 46 5.85 5.97 0.00 47.20
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 44 8.61 9.20 0.00 44.32
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 帝王切開術等 37 8.35 9.40 0.00 31.92
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 37 6.00 5.88 0.00 47.59
地域周産期母子医療センターとして、切迫流産、早産、多胎妊娠、妊娠高血圧症候群、母体合併症、前置胎盤、胎児異常などハイリスク妊娠・分娩管理を行っています。特に前回帝王切開例・骨盤位・多胎妊娠なども、できるだけ経膣分娩をモットーとし、骨盤位には外回転術も行っています。また、子宮筋腫・卵巣腫瘍・内膜症などの婦人科疾患に対し、手術だけでなくホルモン療法を中心とした総合的女性ヘルスケアを脳神経内科・整形外科・精神科などと連携して行っています。
乳腺・内分泌外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術等 118 7.01 9.77 0.00 65.53
090010xx99x4xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし エンドキサン+エピルビシンあり等 67 3.07 3.64 0.00 61.99
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない) 36 5.72 5.50 0.00 59.67
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術等 32 6.59 7.90 0.00 53.25
090010xx99x0xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 21 11.43 9.75 4.76 64.76
乳腺・内分泌外科は、乳癌に対する手術および薬物治療と、甲状腺および副甲状腺の外科治療を担当しています。
令和6年度における入院患者の治療では、乳癌手術が最も多く、36件は乳房部分切除およびセンチネルリンパ節生検を施行しえた早期乳癌症例です。残りの118件は乳房全摘あるいは腋窩リンパ節郭清を要した患者や、術後化学療法ののちに手術を施行した患者が含まれます。
表の2行目は、乳癌に対する抗がん剤治療を要した患者数です。当院では、選択した抗がん剤が初回投与の時は入院していただき行なっています。入院により、抗がん剤治療への副作用管理を十分に行なえ、また入院中に病状に対する説明や抗がん剤の副作用予防に関する説明を看護師や薬剤師からも行なってもらうことにより、患者さんの薬物治療への理解を深めてもらい、不安を少なくしてもらえるように努めています。
甲状腺癌の手術は32件で、県内でも多い件数を行なっています。在院日数は6.59日、すなわちほぼ術後5~6日で退院しています。
最も下段に示される「乳癌の手術なし」は、再発乳癌の患者入院数を示しています。再発により体調を崩された患者さんに一度入院してもらい、自宅療養可能な状態に回復するよう治療介入を行なった患者数です。必然的に平均在院日数は長くなっています。
乳癌および甲状腺癌では、手術、薬物治療、放射線治療、遺伝子検査に基づく治療が必要です。当院ではこれらをすべて担うことができますので、標準治療を円滑に、患者さんに納得してもらいながら遂行していくことを目指し、全国レベルと同じ治療成績を目指して取り組んでいます。
頭頸部・耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 100 3.90 5.84 0.00 54.81
030240xx97xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 その他手術あり (口蓋扁桃手術 摘出等) 25 5.72 8.27 0.00 30.28
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 21 4.81 4.67 0.00 70.33
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 20 4.90 5.63 0.00 45.50
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり (耳下腺腫瘍摘出術(耳下腺浅葉摘出術)等) 17 4.12 6.68 0.00 59.76
鼻閉・鼻汁・後鼻漏を生じる慢性副鼻腔炎に対する手術が最多となっております。全例、手術用ナビゲーションシステムとハイビジョン内視鏡を使用し副損傷の予防に努めています。頭頸部急性炎症の治療も積極的に行っております。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし エダラボン 94 16.34 16.89 24.47 80.71
010060xx99x41x 脳梗塞 手術なし エダラボン 肺炎等等 25 29.16 29.66 64.00 82.32
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外) JCS10未満 手術なし 24 21.50 18.68 58.33 73.21
010230xx99x00x てんかん 手術なし 14 8.93 6.89 0.00 46.29
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 12 29.33 17.95 16.67 74.75
当科に入院される患者さんの中で、上位5種類の病気の患者さんの数を示しています。最多の「脳梗塞」は脳血管が閉塞する病態です。脳梗塞の経過中に肺炎などの合併症が生じると,重症化し入院期間が長くなる傾向があります。脳梗塞では麻痺などが残りリハビリ専門施設に転院される方が一定数おられます。「非外傷性頭蓋内出血」は、いわゆる脳内出血といわれる病気です。脳梗塞と同様に麻痺などが残ることが多く、リハビリ専門施設あるいは療養のための病院/施設に転院される方が比較的多くおられます。「てんかん」は痙攣や意識障害の発作を繰り返す病気です。人口の約1%に発症するとされる数の多い病気です。子供の疾患と考えられがちですが、高齢者にも非常に多い病気です。発症当初は入院加療を要することがありますが、ほとんどの場合、適切な治療により発作は抑えられます。発作により自動車運転や職業が制限される場合がありますので、早期治療が望ましい疾患です。「パーキンソン病」は手のふるえや身体の動きの鈍さが徐々に進行し、生活に支障をきたすようになる疾患です。歩行時に脚が出づらくなり、小股でちょこちょこと歩くようになり、転びやすくなります。適切な治療により症状は改善しますが、消失することはなく緩徐に進行します。
救急科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 19 25.58 20.78 42.11 88.05
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 18 6.89 7.99 11.11 66.56
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 18 19.00 13.66 27.78 86.00
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む) 手術なし 15 22.67 19.16 60.00 81.53
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 14 2.36 3.58 0.00 33.29
救急科では年齢や疾患に問わず、救急搬送となるあらゆる年齢のあらゆる疾患を診療しています。肺炎や尿路感染など内科的な疾患から、脳卒中や交通事故、心肺停止症例まで、どのような疾患にも対応しています。必要時は各専門科医師とも協力し、患者さんに最善の医療を提供できるよう努めています。
救急車対応はもとより、直接医師が現場に駆けつけ、重症度の高い患者さんにより早期に医療介入ができるよう、ドクターカーでの病院前診療にも力をいれています。また、諏訪地域の各病院や開業医の先生方とも連携をとり、緊急での診療が必要な患者さんがいれは救急科にご紹介いただき、いつでも受け入れられる体制を整えています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし エダラボン 63 21.06 16.89 44.44 79.52
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他手術あり (慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等) 55 8.29 9.83 12.73 81.18
010010xx03x00x 脳腫瘍 頭蓋内腫瘍摘出術等 14 16.07 19.89 7.14 60.36
010200xx01x00x 水頭症 水頭症手術等 12 20.17 18.56 16.67 70.25
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外) JCS10以上 手術なし 12 22.00 22.21 66.67 72.08
当院は諏訪地域では唯一の、重症救急患者に対して高度な医療を提供する救命救急センターを有しています。
救急医療が必要な頭部外傷や脳卒中などの患者さんがたくさんいらっしゃいます。脳神経外科医3名で24時間365日の診療体制を組み、諏訪湖周辺の各病院から当院へ搬送される神経救急患者さんを脳神経内科との共同で診療にあたっています。基本的にすべての疾患を当院で完結できるよう態勢を整えています。特殊な疾患では信州大学脳神経外科医師を招聘して治療にあたることで良好な治療結果を得ています。脳神経外科入院患者さん数として多いのは、緊急で治療が必要な慢性硬膜下血腫、脳梗塞、脳出血などの患者さんたちとなりますが、そのほかにも徐々に大きくなって具合が悪くなる脳腫瘍、平時は症状のない未破裂脳動脈瘤の患者さんたちにも入院してもらって手術治療を提供しています。
腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060020xx9903xx 胃の悪性腫瘍 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし等胃の悪性腫瘍 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし等 17 5.00 6.17 5.88 76.29
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む) 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 15 5.13 8.61 0.00 62.87
060035xx99x4xx 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 手術なし オキサリプラチン等 13 7.62 4.18 0.00 69.46
060040xx99x6xx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 手術なし セツキシマブ等 12 3.17 4.59 0.00 65.58
03001xxx99x40x 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 10 5.50 8.80 0.00 74.60
免疫療法が広く行われることになったことから、件数の多い消化器系のがんを多く手掛けています。
様々な副作用に配慮した、きめ細かい対応を心がけています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼(水晶体再建術等) 164 2.01 2.49 0.00 78.54
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 水晶体再建術等(硝子体茎顕微鏡下離断術) - - 5.47 - -
020110xx99xxxx 白内障、水晶体の疾患 手術なし - - 2.37 - -
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 片眼(硝子体茎顕微鏡下離断術等) - - 5.89 - -
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 片眼(硝子体茎顕微鏡下離断術) - - 4.83 - -
当院では白内障手術を主として行っており、日帰り、入院手術のどちらも対応しております。
緑内障手術は、白内障手術と同時に行う、眼内ドレーン挿入を行っております。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術 腹部大動脈等 中心静脈注射等 35 18.94 18.74 2.86 76.23
050163xx9910xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 心臓カテーテル法による諸検査等 32 3.00 4.39 0.00 75.22
050161xx01x1xx 大動脈解離 オープン型ステントグラフト内挿術 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術 その他のもの等 中心静脈注射等 12 28.00 29.35 33.33 76.75
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む) 弁置換術等 中心静脈注射等 11 27.64 20.84 0.00 72.82
050163xx03x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術等 中心静脈注射等 10 13.80 14.96 10.00 80.90
心臓血管外科は心臓疾患、胸部・腹部の大血管および末梢血管の患者さんを担当していますが、循環器内科と連携し、特にそれらの外科治療を行っています。
外科治療の内容としては虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁置換術、腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術およびステントグラフト内挿術に対する手術が上位を占めています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術等 16 4.81 3.77 0.00 51.50
080010xxxx0xxx 膿皮症 15 10.67 12.98 0.00 74.13
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり(眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法)) 15 2.93 2.74 0.00 74.40
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 11 8.18 6.92 0.00 75.27
160660xxxx000x 皮下軟部損傷・挫滅損傷、開放創 11 7.82 8.41 0.00 64.82
皮膚、皮下腫瘍の摘出術は形成外科で最も多く行われる手術です。外来通院治療で行われるものが大半ですが、大きな腫瘍や小児で全身麻酔が必要なもの、合併症の危険性が高いものなどは入院で手術を行います。
皮膚・軟部組織感染症(皮膚、脂肪などが感染した状態)は下肢に多く、感染した下肢を挙上して安静にすることが重要であり、入院で治療を行います。
加齢とともに次第にまぶたが上がりづらくなり視界が狭いなどの症状を引き起こす眼瞼下垂症の手術治療を行います。
皮膚悪性腫瘍は良性のものに比べ広範囲の切除が必要になるため、変形やきずあとが最小限になるように配慮した手術を行います。
外傷などによる皮膚・軟部組織の損傷も形成外科で加療します。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 97 8.28 9.82 0.00 71.70
040150xx97x0xx 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術あり(経皮的膿胸ドレナージ術等) 15 27.60 28.41 20.00 74.73
040200xx01x00x 気胸 胸腔鏡下肺切除術等 - - 9.59 - -
040200xx99x00x 気胸 手術なし - - 9.28 - -
040010xx01x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍 胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術等 - - 8.41 - -
当科の主な対象疾患は、肺の悪性腫瘍・縦隔腫瘍・自然気胸などです。当院ではほぼ全例に胸腔鏡下の手術、特にロボット手術に力を入れています。近年肺がん症例が増加し、最も多い疾患は肺の悪性腫瘍(肺がん)手術症例です。高齢者に対する手術も積極的に行っていますので、平均年齢は70歳を超えていますが、平均在院日数は約8日であり、短期間での退院が可能となっています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 末梢動静脈瘻造設術 内シャント造設術 単純なもの等 22 4.73 7.38 0.00 70.64
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 10 15.20 20.78 10.00 83.70
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 経皮的腎生検法 - - 6.01 - -
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし - - 11.35 - -
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.66 - -
当科腎臓内科の業務について解説します。入院患者さんの数の多い順にお話すると、最も多い入院は腎不全患者さんのシャント作製です。透析を受けるのにシャントが必須でこれを作るための入院です。次は腎臓の検査の中で最も重要な腎生検の入院で当院では2泊3日の予定で検査します。次は透析患者さんの入院で(1)透析を始めるときの入院(2)透析中の合併症の治療に入院等です。
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 11 25.27 17.33 0.00 88.64
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 11 13.64 13.66 0.00 79.36
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし - - 16.40 - -
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし - - 20.78 - -
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害 手術なし - - 9.83 - -
当科の入院患者さんの中で最も多い疾患は、心不全及び腎臓又は尿路の感染症の患者さんです。
糖尿病・内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 12 24.33 20.78 25.00 88.42
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン製剤(注射薬に限る) 11 21.82 13.77 18.18 73.82
0400802499x0xx 肺炎等 75歳以上 手術なし - - 16.40 - -
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 - - 13.07 - -
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) - - 10.46 - -
 糖尿病・内分泌内科における入院診療で最も多いのが、インスリン治療による血糖コントロールを目的とするものです。内服薬のみの治療で血糖コントロールが不十分であった患者さん、初めて糖尿病が見つかった時すでにインスリン治療が必要な重症な患者さん、外科手術前に短期間に確実に血糖コントロールを改善させる必要がある患者さんなどが主なものです。また、妊娠中に血糖値が上昇する妊娠糖尿病でもインスリン治療を必要としますので、患者さんの状況によって入院治療を行う場合があります。入院では適切な食事療法や運動療法も学ぶことができます。当院では、インスリンを要否に関わらず、糖尿病の知識習得、食事・運動療法の体験を目的とした、2泊3日の教育入院も実施しています。進行した認知症などない限り、患者さんは自分でインスリン注射や血糖測定ができるようになって、血糖値が改善して元気に退院することができます。
 当院の特徴として、諏訪地域の基幹病院として、特に重症な糖尿病患者さんや、総合病院として、他の病気やケガで入院した患者さんで糖尿病をもっている患者さんの診療にあたっていることが挙げられます。糖尿病の重症な状態として、糖尿病ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖昏睡といった急性の合併症があり、集中治療室での治療が必要になる場合があるため、その設備とスタッフを備えた当院で救急搬送を含めた診療を受け入れています。また、他の病気やケガのときに糖尿病で血糖値が高いと重症化したり入院が長びいたりするため、各診療科の治療に併せて当科が糖尿病を管理する役割を担っています。
 当院では糖尿病専門医が診療にあたっておりますが、諏訪地域には糖尿病専門医が少なく、各医療機関からの重症な糖尿病患者さんをご紹介頂いております。従いまして、この受け入れ態勢を維持するために、十分に改善した患者さんにおかれましては、地域の医療機関に逆紹介させて頂いておりますので、ご理解をよろしくお願い申し上げます。
放射線科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
06007xxx9909xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし ルタテラ 17 2.24 3.19 0.00 69.65
060040xx99xAxx 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 手術なし ルタテラ 13 2.31 3.21 0.00 64.23
070040xx99x2xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く) 手術なし 放射線療法 - - 19.51 - -
060030xx99x7xx 小腸の悪性腫瘍、腹膜の悪性腫瘍 手術なし ルタテラ - - 3.14 - -
010010xx9903xx 脳腫瘍 手術なし 化学療法なしかつ放射線療法あり - - 17.40 - -
放射線治療は、様々な「がんの治癒」や、「がんによる苦痛の緩和」を目的に行われます。当院には最先端の機器が導入されており、患者それぞれに最も適した方法で治療することが可能です。多くの場合、通院で治療することが可能ですが、通院が困難な方には入院治療も行っています。
令和元年度より新しく導入した放射線治療システムでは、高精度な放射線治療を実施する上で必要とされる全ての機能が、極めて高いレベルで統合されており、狙ったところに1mm以下の精度で照射することができます。今後、更なる良質な高度医療の提供が可能となります。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 16 8.19 9.33 0.00 69.00
080010xxxx0xxx 膿皮症 14 10.64 12.98 7.14 51.57
080110xxxxx0xx 水疱症 - - 28.94 - -
080190xxxxxxxx 脱毛症 - - 3.29 - -
100100xx99x0xx 糖尿病足病変 手術なし2 なし - - 21.46 - -
総合病院の皮膚科であり、入院が必要な帯状疱疹などの感染症や水疱症の患者さんが多く紹介されます。
また、難治性の重症脱毛症の入院治療も行っております。
必要時には当院形成外科や血液内科、リウマチ膠原病内科、信州大学附属病院皮膚科など連携して診療を行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 29 14 15 25 - 56 1 8
大腸癌 25 41 44 83 19 124 1 8
乳癌 87 117 41 10 - 44 1 8
肺癌 87 - 36 82 - 154 1 8
肝癌 14 - - - 50 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
初めて5大癌(胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌)に罹患し、入院した患者さんの人数をUICC分類(Stage)別に集計しています。Stageとは、癌の進行状態を示すものであり、数字が大きくなるにつれて癌が進行しているといえます。
 表の「再発」欄では、癌が再発して入院した患者さんの人数を癌種別に集計しています。初発の患者さんと再発の患者さんは別です。初発例としてカウントされた患者さんは再発例には含みません。再発患者数には、他病院で治療(手術や化学療法)を受けた患者さんも含まれています。
 令和6年度中に入院した患者数となっており、同年度中に複数回入院された患者さんも1例とカウントされています。
 癌患者も高齢化進んでいますが、各科横断的にカンファレンスを行い、年齢に応じた標準治療を提供しています。都会におけると同様の治療を提供しています。
 胃癌は、日本全国において減少しており、また、高齢化が進んでいます。罹患年齢のピークが80歳以上になっています。高齢者では、検診受診者数が少なく、症状が出現してから病院を受診する場合が多いので、進行度が高くなります。当院では、各専門医(外科、消化器内科、腫瘍内科)が充実しており、進行度に応じて、内視鏡治療、手術治療、化学療法を選択し、集学的治療を行っています。手術は、ほとんど全ての治療を体に優しい内視鏡下に行っています。進行した胃癌は、手術のみで完治することは少なく、再発率が高くなります。再発した場合は、化学療法中心に治療を行っています。当院は、日本胃癌学会認定施設に指定されています。
 大腸癌は、5大癌の中でも、患者数の多い疾患です。胃癌同様に高齢化が進んでいます。進行度に応じて、内視鏡治療、手術治療、化学療法を選択し、集学的治療を専門医が行っています。保健医療上、大腸癌で使用できる抗腫瘍薬が飛躍的に増え、進行度に応じた治療の選択肢が増えています。手術適応も拡大しています。手術は、ほとんど全ての治療を体に優しい内視鏡下(腹腔鏡下、ロボット支援下)に行っています。進行した大腸癌は、手術のみで完治することは少なく、再発率が高くなります。再発した場合は、化学療法中心に治療を行っています。
 乳癌は女性の癌の中で最も多い癌で、罹患数も増えています。とくに諏訪地域は専門医が少なく、クリニックの先生と協力して、多くの患者さんを受け入れています。周術期の化学療法、再発後の化学療法、放射線療法が可能で、各専門医が対応しています。手術は、乳房温存手術が主体で、各治療法と合わせて集学的治療を行い、また、術後経過観察も慎重に行っています。
 肺癌治療患者は、近年多くなっています。諏訪地域の専門医は少なく、当院で広く受け入れています。呼吸器外科および呼吸器内科専門医が協力してカンファレンスを行い、手術と化学療法を行っています。手術は、他癌同様に、ほとんど全ての症例を鏡視下(胸腔鏡下、ロボット支援下)手術で行っています。手術件数は、長野県内で上位に位置しています。再発症例も積極的に受け入れ、集学的治療を行っています。
 肝細胞癌は、ウイルス性肝炎が内科的治療の進歩で減ったことから、減少しています。大腸癌の肝転移が治療対象になったことより、大腸癌専門医と協力しながら、肝転移に対して手術を行っています。その他、肝内胆管癌に対しては、化学療法と組み合わせ、高度な集学的治療を積極的に行っています。再発例に対しても、積極的な集学的治療を行っています。手術においては、他癌同様、腹腔鏡下手術を導入しています。
 癌専門医は、日本全国で多くはありませんが、当院では各疾患において、高度な技術を持つ専門医を確保し、標準治療を提供しています。近年、各癌において、抗腫瘍薬の保険適応が飛躍的に広がり、当院でも専門医が同薬を使用し、積極的に治療を行っています。
 末期癌に関しては、緩和ケアチームを中心に、患者側に立った緩和ケアを、近隣病院と協力し提供しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 23 8.35 49.09
中等症 86 14.02 79.58
重症 46 18.37 84.13
超重症 14 24.86 86.21
不明 - - -
市中肺炎は、市中で生活している人に発症する肺炎のことです。脱水、低酸素状態、意識障害や血圧低下などを認める重症~超重症の症例は、一般に長期入院を要します。また、高齢者では基礎疾患を有することも多く、退院後の生活も視野にリハビリテーションなど行い、入院期間が延長します。患者背景から個人の意思やQOLを考慮した治療を心がけ、ガイドラインに沿った抗菌薬の適正使用や様々な病態に応じた機器(人工呼吸器、NPPV、ネイザルハイフロー、ECMO等)を積極的に活用した呼吸管理も行っています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 235 21.95 80.91 35.42
その他 - - - -
脳梗塞は一般に突然発症する疾患であり、ほとんどの例で発症直後に救急搬送され緊急入院されます。入院後、しばらくは脳循環を改善させる治療や脳のむくみを減らす治療などを行い、後遺症の低減に努めます。並行してリハビリテーションを行い、症状の回復に努めます。また、脳梗塞は再発しやすい病気であり、再発するほど症状が重く、生命にも影響が出ますので、再発予防治療も行います。多くの場合、麻痺や嚥下障害などの症状が残り、すぐには社会や家庭に復帰できない場合があります。入院患者さんの約3分の1の方は、専門的なリハビリを行うために転院されます。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 110 1.53 5.82 0.91 65.79
K6335 鼠径ヘルニア手術 等 89 1.22 2.38 0.00 72.56
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 等 54 4.98 12.33 1.85 75.96
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 35 11.40 47.20 0.00 73.51
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 34 3.03 14.18 2.94 75.26
消化器外科で行われた手術でもっとも多かったのは、腹腔鏡下胆のう摘出術でした。胆のう炎や胆のう結石症に対しては胆のう摘出術が行われますが、原則的に腹腔鏡下の手術を行います。急性胆のう炎の場合、発症からなるべく早い時期に手術を行うことが推奨されており、当科では平均で入院後2日未満で行っています。また術後の入院日数も6日程度と短い期間で治療が行われています。次に多かった手術は、鼠経ヘルニアなどに対するヘルニア手術です。患者さんの平均年齢は72.5歳で、だいたい入院後2日以内に手術が行われ、術後も3日以内に退院するのが平均的です。3番目に多かった手術は、結腸悪性腫瘍に対して行われた腹腔鏡下結腸切除術です。これは大腸に発生した悪性腫瘍(がんがほとんど)のなかで、結腸(直腸は除く)に発生した悪性腫瘍に対して、腹腔鏡下に手術が行われた患者さんの数です。結腸悪性腫瘍に対する手術のうち8割以上は腹腔鏡下に手術を行っています。結腸の悪性腫瘍は、腸閉塞を発症して見つかることもあり、手術の前に内視鏡下に処置が必要な場合など、入院後手術まで日数を要することがあります。当科では平均で5日程度です。一方で腹部大手術にも関わらず、術後は平均12日程度で退院できています。4番目に多かったのは、いわゆる抗がん剤投与を目的に植込み型カテーテル留置を行った患者さんです。悪性腫瘍が進行した形で見つかったため、手術ができなかったり、手術の前に薬物治療を行った方がよいと判断されたケースです。すでに合併症がありその治療が必要だったり、治療方針を決定するまでに必要な検査があったりするため、術前の入院日数は10日以上と長めとなります。同時に退院できるまで治療が継続する期間も長引くことが多く、術後日数も平均で1か月半を超えています。5番目に患者さんが多かった手術は、内視鏡的胆道ステント留置術です。胆管がんや膵臓がんに対して胆管切除、胆道再建術が行われた場合など、比較的多い術後中長期合併症に術後胆管炎があります。繰り返す胆管炎などが原因で再建部分が狭くなることがあり、このような場合に再建部分にステントという管を留置して胆汁の流れをよくするとともに、狭くなった部分を広げるようにします。最近では手術の前にいったん薬物治療を行うために癌と診断され胆管の狭窄を認めた時点でステント留置術を行うこともあります。胆管炎の発症から、平均の入院期間は2週間を少し超える程度です。炎症が治まり、食事を摂れることを確認して退院します。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 163 0.18 1.12 0.00 71.80
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 82 1.04 8.68 7.32 81.89
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 52 0.17 4.21 0.00 71.98
K654 内視鏡的消化管止血術 40 0.85 9.55 15.00 81.50
K708-3 内視鏡的膵管ステント留置術 39 0.87 4.26 2.56 74.69
消化器内科で行う手術は内視鏡を用いており、最も多い手術は大腸ポリープ切除術です。大半の症例は外来で治療しますが、ポリープが大型であったり、多数の場合には入院で治療を行います。早期消化管癌に対する内視鏡的切除術も積極的に行なっており、5日間の入院で行うクリニカルパスを用いています。また、総胆管結石や胆管・膵腫瘍により黄疸や胆管炎を発症した場合に内視鏡で行う胆道ステント留置術や、吐下血・血便など出血性疾患を認めた場合の内視鏡的止血術は、必要があれば時間外でも緊急で行っています。膵石により膵炎を繰り返す場合には定期的に膵管ステントを留置・交換して、その予防を行なっています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(股) 等 115 1.31 20.03 57.39 73.65
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 100 1.10 20.60 62.00 80.53
K0462 骨折観血的手術(前腕) 等 63 0.90 9.59 12.70 65.24
K0811 人工骨頭挿入術(股) 57 1.96 24.51 68.42 84.67
K1421 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(前方椎体固定) 28 2.36 29.54 57.14 73.71
受傷後の生活状況やさらには生命予後にも直結する高齢者に多い大腿骨近位部骨折に対しては、他科との緊密な連携のもと可及的早期に観血的整復固定や人工骨頭挿入などの手術をし、リハビリテーションも行い日常生活動作のレベルが落ちないように治療しています。最近では遅くとも受傷翌日には手術を行うようになってきています。手術後、全身状態が安定していれば連携病院に転院しリハビリテーションを続ける体制もできています。
関節リウマチ、外傷など種々の理由で関節軟骨が摩耗、消失し股関節や膝関節の著しい痛みのために日常生活の支障が大きくなった時は、主に人工関節に置換する手術を行っています。これにより疼痛は著しく軽快し日常生活動作の改善も得られています。必要時はナビゲーションシステムを使用し、より正確な手術に勤めています。また人工股関節置換術では、大きな合併症である股関節脱臼が起きにくい術式を行っています。
転倒等で生じることが多い手関節の骨折に対しても、積極的に早期に手術を行い、ギプス固定の期間を短くしています。
腰から殿部、足にかけての痛み、しびれ、足が出なくなってすぐに歩けなくなってしまう間欠性跛行等の原因となる腰部脊柱管狭窄症に対して、脊柱管を拡大して圧迫されている神経が緩むように椎弓切除術等の手術を行っています。すべり症があり不安定な場合は脊椎固定術も併用しています。また最近では腰痛や足の痛みを伴う成人脊柱変形(横に曲がる側湾、姿勢が前屈みになってしまう後彎)に対しても、脊柱の矯正固定術を行っています。固定術の際に必要となるスクリューの設置ではナビゲーションシステムを用い、より安全で正確に行えるようにしています。また、従来の背中からだけの手術ではなく、側腹部から侵入する新しい手術法も導入して、より少ない侵襲でより確実に固定できるようにしています。手術に際しては内科等他の診療科にもコンサルトし安全に行えるように留意しています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 等 97 1.10 3.33 1.03 74.95
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 等 68 0.01 1.03 0.00 63.18
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 等 58 1.00 2.22 0.00 63.81
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 等 49 1.00 8.37 0.00 71.06
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 29 1.00 7.48 0.00 70.59
悪性腫瘍(癌)に対する治療が中心となっています。
手術内容では、膀胱腫瘍に対する経尿道的切除術、腎・尿管腫瘍に対する腹腔鏡手術、前立腺腫瘍に対するロボット支援腹腔鏡下手術など、ほとんどが内視鏡手術となっています。
2021年5月より、腎・尿管結石に対する体外衝撃波、経尿道的結石破砕術も施行されています。
引き続きQOLを重視した医療を目指してゆきます。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 89 1.03 4.08 0.00 47.93
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 54 1.04 3.74 0.00 45.46
K877 子宮全摘術 43 1.14 6.95 0.00 48.79
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 38 1.39 6.63 0.00 32.55
K879 子宮悪性腫瘍手術 30 1.00 7.33 0.00 64.60
卵巣腫瘍・内膜症・子宮筋腫などに対しV-NOTESをはじめ、腹腔鏡手術や経膣手術を積極的に導入し、低侵襲手術に心がけています。麻酔科医による硬膜外麻酔を併用した帝王切開には小児科医師も立ち会い、毎日、小児科による新生児の診察を行っています。子宮癌、卵巣癌の進行癌症例には、広汎手術のみでなく、抗がん剤を併用したり放射線を組み合わせた化学放射線療法も行います。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 等 63 1.73 3.54 0.00 74.46
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 等 58 1.00 2.38 0.00 65.91
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 等 56 3.16 8.61 3.57 79.75
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 等 40 4.75 12.45 5.00 84.58
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 等 34 0.32 10.79 2.94 76.09
①狭心症で冠動脈(心臓の血管)に詰まりがある方でステントで拡張治療を行った方の入院
②脈拍が多くなる不整脈の根治治療であるアブレーションを行った方の入院
③脈拍が少なくなる不整脈でペースメーカーを植込んだ方の入院
④大動脈弁の開きが悪く(狭窄症)、カテーテル(細い管)を用いて狭窄弁の内側に人工弁を留置した方の入院
乳腺・内分泌外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 等 78 1.05 4.76 0.00 65.37
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 36 1.00 3.36 0.00 59.14
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 35 1.00 5.94 0.00 65.77
K4632 甲状腺悪性腫瘍手術(切除)(頸部外側区域郭清を伴う) 18 1.11 6.28 0.00 60.39
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術(片葉のみ) - - - - -
乳腺・内分泌外科は、乳癌に対する手術および薬物治療と、甲状腺および副甲状腺の外科治療を担当しています。
表は主要術式別に手術件数を多い順に示しています。上の段より、乳房全摘およびセンチネルリンパ節生検78例、乳房部分切除およびセンチネルリンパ節生検36例、乳房全摘および腋窩リンパ節郭清35例、甲状腺全摘および頸部リンパ節郭清18例、甲状腺片葉切除9例です。
令和6年の総手術件数は214件、全身麻酔下での手術件数は203件でした。これは、当科でこれまで最も多かった昨年の175件をさらに28件超える件数となりました。また、術後出血による再手術は0例で、再手術にならないような小さな術後出血も0例でした。術後在院日数は、概ね3~6日です。合併症を全くゼロにすることは不可能ですが、限りなく少なく、術後4~6日で退院できるような手術に努めています。
がん拠点病院として、乳癌、甲状腺癌の患者さんに対し、引き続き合併症の極めて少なく精度の高い手術を提供できるように努力していきます。
頭頸部・耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 等 54 1.11 1.50 0.00 55.41
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 等 48 1.13 1.88 0.00 55.31
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 等 36 1.19 3.69 0.00 20.31
K309 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 11 1.00 0.36 0.00 4.00
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 10 1.10 4.00 0.00 49.70
副鼻腔手術を実施する際には、全例手術用ナビゲーションシステムと高精細内視鏡を使用し副損傷の予防に努めています。
耳下腺腫瘍摘出術の際には神経モニタリング装置を使用しており、神経損傷リスクを下げています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 157 0.09 1.04 0.00 78.74
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 14 0.00 3.57 0.00 71.43
K2686 緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術) - - - - -
K220 結膜縫合術 - - - - -
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) - - - - -
当院では白内障手術を主として行っており、日帰り、入院手術のどちらも対応しております。
緑内障手術は、白内障手術と同時に行う、眼内ドレーン挿入を行っております。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 59 0.12 7.53 15.25 81.37
K1781 脳血管内手術(1箇所) 等 18 0.78 20.67 16.67 69.89
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 等 16 2.63 21.06 12.50 61.25
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 等 12 1.08 26.42 25.00 61.08
K1742 水頭症手術(シャント手術) 等 12 5.67 13.50 16.67 70.25
脳神経外科手術件数は年間200件程度です。当院では顕微鏡や内視鏡で行う外科治療とカテーテルで行う血管内治療を並行して可能とするハイブリット手術室を備えています。脳神経外科常勤医3名で24時間365日の診療体制を組み、基本的にすべての疾患の外科治療を当院で完結できるよう態勢を整えています。特殊な手術では信州大学脳神経外科医師を招聘して治療にあたることで良好な治療結果を得ています。手術件数として最も多いのは慢性硬膜下血腫で、昨年は59件の手術がありました。慢性硬膜下血腫は局所麻酔下の30分程度の手術治療で多くの人が完治する疾患です。ご心配はもっともですが、安心して我々に治療を任せていただければと思います。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除)(内視鏡手術用支援機器使用) 等 46 1.20 5.83 0.00 69.35
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除、1肺葉超・手術用支援機器使用) 等 45 1.00 7.11 0.00 74.07
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 等 10 2.90 5.60 0.00 38.40
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) - - - - -
K488-4 胸腔鏡下試験切除術 - - - - -
肺がんに対する手術が多く、ほぼ全例に胸腔鏡下で行っています。胸腔鏡手術とは胸部で行う鏡視下手術のことで、専用の手術機器を使って、全身麻酔下に5mm~3cmの数か所の創で手術を行います。その中でもロボット支援手術に力を入れており、肺がん手術の70%以上、縦隔腫瘍のほとんどをロボット支援手術で行っており、全国的にも有数の症例経験があります。平均術後在院期間は5日程度であり、短期間での退院が可能になっています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 等 16 0.94 1.00 0.00 70.50
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 等 15 1.00 4.80 0.00 76.93
K333 鼻骨骨折整復固定術 10 1.00 1.00 0.00 35.00
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外・長径6~12cm)(6歳以上) 等 - - - - -
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(躯幹) 等 - - - - -
形成外科で最も多く行われている手術は眼瞼下垂症手術でした。眼瞼下垂症は加齢によって起こるものが多く、高齢社会では非常に多い疾患です。
皮膚悪性腫瘍は良性のものに比べ広範囲の切除が必要で、整容面にも配慮した再建手術を併施することも多く、入院で行われることがあります。
鼻骨骨折などの顔面骨骨折手術、皮膚・皮下腫瘍摘出術は形成外科で多く行われる手術です。皮膚・皮下腫瘍摘出術は入院せず外来通院治療で行われるものが大半ですが、大きな腫瘍や小児で全身麻酔が必要なもの、合併症の危険性が高いものなどは入院で手術を行います。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5606 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(分枝血管の再建)) 28 2.07 15.79 0.00 75.89
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 12 2.00 7.17 0.00 79.58
K5607 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(その他)) - - - - -
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) - - - - -
K5551 弁置換術(1弁) - - - - -
当科は心臓疾患、胸部・腹部の大血管および末梢血管の患者さんを担当していますが、循環器内科と連携し、特にそれらの外科治療(ステントグラフト内挿術を含む)を行っています。
外科治療の内容としては虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術、心臓弁膜症に対する弁置換術、胸部および腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術およびステントグラフト内挿術が上位を占めております。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 32 3.22 4.06 6.25 72.25
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) - - - - -
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) - - - - -
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施) - - - - -
当科での手術につき概説します。当科は内科ですが、透析に関わる手術を執刀します。日本では透析患者の98%は血液透析を受けておられます。血液透析に必要な血管(シャントといいます)の新規作成が当科で最も多い手術で、内シャント造設術です。シャントは長年使っていると、閉塞したり、不具合を起こし、それらの修正手術がシャント血栓除去手術やシャント結紮術です。腹膜透析を始めるときの手術が連続携行式腹膜透析カテーテル留置術で、毎年数例ずつですが施行しています。血液透析患者さんで自己血管の乏しい方に対し、血管移植術、バイパス移植術を行います。
腫瘍内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 12 5.58 19.17 8.33 68.00
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 - - - - -
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 - - - - -
K682-3 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術(ENBD) - - - - -
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
点滴の取りづらい方でもがん治療が円滑に進められるよう、外科医と協力して対応しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 16 0.15
180010 敗血症 同一 20 0.18
異なる 17 0.16
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 18 0.17
異なる - -
入院契機と同一というのは入院時からその疾患があるもの、異なるというのは入院中にその疾患を発症したものを意味します。
 播種性血管内凝固症候群(DIC)と敗血症には、その原因となる疾患(出血、肺炎や尿路感染症など)があることがほとんどで、それらが重症化した場合に発症します。DIC「異なる」、敗血症「異なる」には、院内で重症化したものが多く含まれます。例えば、入院時からあった肺炎や尿路感染症、手術後感染症などの重症化がそれにあたります。当院では、「救命救急センター」を有し、24時間体制で重症患者を積極的に受け入れています。
 真菌感染症は、免疫力が低下したときに多く合併します。例えば、手術後、肺炎、尿路感染症、敗血症、抗癌治療後などがそれにあたります。
 手術、処置、検査を行う際には、ある程度の確立で合併症が起こりますが、合併症を起こさないよう、各疾患の専門医が慎重に治療にあたっています。起こりうる合併症については、患者さんに十分に説明を行った上で、各治療を行っています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1471 1327 90.21%
肺血栓塞栓症のリスクレベルが「中」以上と判定された患者さんに対し、手術中・後に肺血栓を予防するための対策がどのくらいの割合で実施されているかを示す指標です。
肺血栓塞栓症(別名:エコノミークラス症候群)は、下肢の静脈に生じた血栓が肺の動脈を詰まらせる疾患で、ひとたび発症すると死亡率は14%と報告されているとても怖い病気です。手術前後やいろいろな治療による長時間の安静や血管が傷つくことでが血栓が出来やすくなりますので、予防が大切になります。
手術を受ける患者さんごとに、年齢、肥満度、病気の有無などを考慮して、肺血栓塞栓症になる危険度を評価します。この評価はいくつかの段階に分かれており、その中でも「中」以上のレベルは、予防策を講じなければ血栓ができるリスクが高いと判断される状態です。
この予防策の実施率が高いということは、リスクのある患者さんに対して、しっかりと予防策を講じていることを意味します。つまり、患者さんの安全を確保するための質の高い医療が提供されていることの証になります。具体的な予防策には、足の血管を圧迫して血流を促すことで血栓ができるのを防ぐ弾性ストッキングの着用ですとか、ふくらはぎなどを定期的に圧迫する装置を装着してマッサージ効果で血流を良くする間欠的空気圧迫装置の装着、血液を固まりにくくする薬を投与して血栓の形成を抑える抗凝固薬の投与、手術後できるだけ早くベッドから離れ、歩くことで血流を改善する事などがあります。この実施率を定期的に測定し、改善していくことは、医療機関が患者さんの安全を守るためにどれだけ真剣に取り組んでいるかを示す重要な指標となります。高い実施率は、患者さんにとって安心できる医療環境が整っていることの証と言えるでしょう。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
2735 2389 87.35%
血液は通常無菌状態ですが、血液中に病原微生物が侵入することで菌血症や敗血症という重篤な感染症を引き起こします。菌血症や敗血症の治療には、速やかに病原微生物を特定し効果的な抗菌薬を投与する必要があります。血液中の病原微生物の検出を目的とした検査のことを「血液培養検査」といいます。好気培養(酸素がある環境)と嫌気培養(酸素がない環境)を同時に行い、これを1セットと呼びます。血液培養検査は、より多くの血液を培養することで病原微生物の検出感度を高めるためと、検出された微生物が病原微生物なのか採血時に混入した汚染菌なのかの判断に役立てるために、2セット以上行う事が推奨されています。小児の血液培養検査は、採血量が限られるため、1セットで行われることが多くなっています。本データは、小児データが含まれた値となっていますが、成人のみでは90%以上を維持しています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
998 892 89.38%
感染症診療において、原因微生物を同定することは非常に重要です。当院では、抗菌薬の使用前に培養検査を施行することを原則としておりますが、一部の症例では以前の培養結果やアンチバイオグラムを参考に抗菌薬の使用を優先する場合もあります。当院では、抗菌薬適性使用支援チーム(AST)を組織し、抗菌薬適性使用を推進する取り組みを行い、年々この実施率は上昇傾向にあります。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
124014 384 3.10‰
転倒転落発生率というのは、ある期間内に転倒または転落した人の割合を示す指標です。これはおもに医療や介護の現場で用いられ、安全管理やリスク評価を行う上で重要な数値となります。転倒転落発生率は次のような式で計算されます。【転倒転落発生率=転倒または転落した人数/対象の全人数×1000(‰)】例えば、ある病棟に1ヶ月間に1000人の患者さんがいて、1ヶ月間に3人が転倒や転落をした場合、転倒転落発生率は【3人/1000人×1000(‰)=3‰】となります。
転倒転落発生率は、その施設や病棟の安全の目安となります。この数字が高いほど、転倒転落のリスクの高い状態にあるといえます。転倒転落発生率を下げることは、患者さんや利用者さんの安全を守る上で非常に重要です。そのため、医療・介護施設ではこの数値を定期的にモニタリングして対策を講じることが一般的です。対策には床の段差をなくしたり、手すりを設置するなどの環境面を整えること、個々の方に応じた転倒転落防止対策を立て実施すること、転倒転落予防に関する知識を共有する職員教育などがあります。これらの取り組みを通じて、転倒転落発生率を低く保つことは、質の高いケアを提供している証でもあります。転倒は骨折などの重大な怪我につながる可能性もあるため、予防が何よりも大切です。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
- - -
分子の値が10件未満と小さく、医療の質として良好な結果ですが、値が小さすぎるため「-(ハイフン)」で表示しています。
医療・介護施設では、転倒転落の危険性とその結果の重大さを評価するために、影響度を段階的に分類しています。以下がその分類になります。
影響度1:転倒したが、怪我はなく、身体的・精神的な影響もほとんどないケースです。
影響度2:擦り傷や打撲など、軽度なケガはあるが、特別な医療処置を必要としないケースです。
影響度3a:軽度の出血や腫れなどがあり、医師の診察や処置が必要となるケースです。例えば軽度の頭部打撲や皮膚の裂傷などです。
影響度3b:骨折や脱臼、頭部外傷など、入院や手術を必要とする可能性のある、より重度なケガを負ったケースです。
影響度4:転倒転落が原因で、深刻な後遺症が残ったり、最悪の場合、生命に関わる事態に陥ったりしたケースです。
影響度5:転倒転落が原因で死亡に至ったケースです。
転倒転落の影響度分類レベル3b以上というのは、転倒転落によって、3b~5に分類された医療的処置が必要になる中等度以上のケガを負ったケースを指します。影響度分類3b以上の転倒転落が発生した場合、その原因を徹底的に分析し、今後の予防策を強化することが非常に重要です。具体的には、個々の方の身体状況やリスク要因を再評価し、より安全なケア方法に変更したり、転倒転落の原因となった環境を改善したり、事故の詳細をスタッフ間で共有して、同様の事態を防ぐために知識やスキルを向上させます。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
2254 2186 96.98%
予防抗菌薬の目的は、手術部位感染発症率の減少とされています。手術が始まる時点で、十分な殺菌作用を示す血中濃度、組織中濃度を維持するため、切開の1時間前以内に投与を開始することが推奨されています。一部の抗菌薬では十分な効果を示すために1時間以上前に投与を開始するものもあるため、この指標を100%にすることは難しいですが、日頃から抗菌薬適正使用支援チーム(AST)を中心に、抗菌薬の適正使用を推進し、チェックを行う取り組みを行っています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
121509 82 0.07%
褥瘡とは一般に「床ずれ」とも呼ばれます。主に寝たきりなどの理由によって身体の一部が長時間圧迫されることで生じる傷のことを言います。令和6年度における褥瘡の発生率は例年と大きく変わりなく、比較的浅い褥瘡の発生が大多数を占めています。褥瘡の発生を最小限に留めること、また発生した褥瘡が悪化しないことを目標に褥瘡対策チームで協力して取り組んでいます。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
7094 6061 85.44%
入院前から食事量の減少、体重減少が続くと栄養状態が悪くなっている可能性があります。栄養状態が悪いと、治療への影響も考えられることから、入院後早期の栄養アセスメント(栄養状態の評価)が求められます。当院では予定入院の患者さんについては、入院前から食事量の減少や体重減少が無いか確認しています。患者さんが入院された際には、早期から管理栄養士が介入し、食慾が低下している患者さんの食事内容の調整を行います。さらに、必要に応じて栄養サポートチームという栄養専門のチームが多職腫で患者さんの早期回復を目的とした栄養管理を行います。今後も全患者さんに対し、早期の介入が出来るよう体勢を整えて参ります。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
124014 5956 4.80%
身体拘束というのは、布製のひも等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限のことをいいます。身体拘束は、やむを得ない場合に限り最小限に留めるべきとされています。
身体拘束の実施率というのは、ある期間に入院している患者さんのうち、どのくらいの割合の患者さんが身体拘束を受けているかを示す数値です。これは、患者さんの尊厳や人権を守り、より安全で質の高い医療サービスを提供するための指標になります。身体拘束の実施率は次のような計算式で算出されます。【身体拘束の実施率=身体拘束を実施した延べ患者数/対象期間中の延べ入院患者数×100(%)】延べ患者数というのは、入院患者さんの人数を、1日ごとにカウントした合計です。例えば、1人の患者さんが5日入院した場合、延べ患者数は「5」とカウントします。延べ身体拘束実施者数というのは、身体拘束が行われた日数を、1人ごとにカウントした合計です。1人の患者さんに2日間身体拘束が行われた場合、延べ身体拘束実施者数は「2」とカウントします。
この数値が低いほど、その医療機関や施設が患者さんの自由と安全を両立させるための取り組みを積極的に行っていることを示しています。身体拘束の実施率を下げる取り組みとしては、身体拘束の代わりに、患者さん一人一人の状態に合わせた専門的なケア(声かけ、誘導、環境調整など)を提供したり、多職種で拘束を必要としない方法を検討・実践します。身体拘束の実施率は、患者さんの安全を確保しつつ、人間として尊厳を尊重する医療・介護の質を評価するための重要な物差しとなります。
更新履歴
2025/9/26
令和6年度病院指標を公開しました。