科の紹介

呼吸器外科では心大血管および食道を除く胸部疾患(肺癌、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍、自然気胸、膿胸など)の外科治療を行っています。
関係学会の指導医、専門医を含む3名で診療にあたっており、下記にあるような身体に優しい手術(低侵襲手術)から、進行癌を対象とした拡大手術まで幅広く対応していますが、特に手術支援ロボット「ダヴィンチ」や胸腔鏡を用いた低侵襲手術に積極的に取り組んでいます。
また、呼吸器科、放射線科とのカンファレンスで方針を決定するチーム医療を実践し、一人一人状況が違う患者さんに対し最善の治療方法を提供できるよう努力しています。

主な対象疾患

肺がん

肺がんはがん死亡原因第1位で、腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞がんの4つの組織型に分類され、進行度は腫瘍の大きさ、リンパ節や他の臓器への転移なのによりⅠ期からⅣ期に分類されます。

治療は組織型と進行度により決定され、全身状態なども考慮し、個々に応じた治療方針を患者さんと相談した上、治療を決定します。基本的には病期(ステージ)II期までの方が手術の対象となり、肺葉切除とリンパ節郭清が行われます。この術式の標準的な術後経過では、翌日から食事・歩行が可能となり、多くの方が術後5日前後で退院されます。

ステージがII期より進んだ進行癌でも手術の対象となる例もあります。このような例は大手術(拡大手術)となることが多いのですが、当科では時には他の診療科とも連携しながら対応しています。

2006年~2014年12月の当院における肺癌切除例は258例、平均年齢69.1歳(35歳~88歳)、性別は男性62%・女性38%でした。
 

図:肺がんの切除法
図:肺がんの切除法
(ハンドブック よくわかる肺がん より)
写真:手術跡
 

 

 

 

 



 

縦隔腫瘍

最も頻度の高い胸腺腫や、神経鞘腫などの神経原性腫瘍が手術の主な対象となります。
良性の嚢胞性疾患(胸腺嚢胞、心膜嚢胞、気管支原性嚢胞など)も、大きなもので症状があるものは手術適応となることがあります。
自己免疫疾患である重症筋無力症も一定の基準を満たせば手術の対象となります。

自然気胸

若年痩身男性に好発し、肺尖部の気腫性肺嚢胞(ブラ:肺の表面に生じる風船状のふくろ)が破れることで発症します。

通常は、まず胸腔ドレナージ(肋骨の隙間から胸にチューブを挿入し、余分な空気を排出する。)により、萎んでしまった肺を再膨張させる治療が行われます。
一部の症例では入院せずに携帯式胸腔ドレナージキット(ソラシックエッグ®)を用いた外来治療も可能です。
胸腔ドレナージで改善しない場合、大きなブラがある場合、頻回・短期間で再発する場合などでは手術が検討されます。手術は胸腔鏡下ブラ切除および再発予防のためのカバーリング法(吸収性のシートで肺表面を覆う)を標準治療としています。

順調に経過すれば術後2~4日程度で退院可能です。

当科の特徴

手術は病気を治すという利益のために、身体にある程度負担“侵襲”をかけながら行う治療ですが、現在では身体の負担が少ない手術“低侵襲手術”を行うため様々な工夫がなされています。

手術支援ロボットda Vinci(ダヴィンチ)を用いた手術


手術支援ロボットda Vinci(ダヴィンチ)

手術支援ロボットda Vinci(ダヴィンチ)は、元々戦場における遠隔手術を目的に開発されましたが、その優れた特徴は手術の更なる低侵襲化に貢献できると期待されています。

ダヴィンチを用いた手術(以下ダヴィンチ手術)では、胸腔鏡手術と同様に数か所の創から手術を行いますが、大きな特徴は映像と執刀医の手の代わりとなるロボットアームにあります。
執刀医はコンソールと言われる操作台を通して、精細な拡大された3Dモニターを見ながら、手が入らないような狭いスペースで、人間の手よりも自由度が高く精密な動きが可能となる多関節ロボットアームの先端を活かして手術操作を行います。

このような利点を活かしたダヴィンチ手術は、従来の手術に比べて術中の出血量が減少し、回復が早いといわれています。その結果、機能の温存や入院期間の短縮といった患者さんへの負担の軽減、安全性の向上が期待されます。
 


手術風景

操作台でダヴィンチを操作

当科では、従来より年間約150例の全身麻酔手術の90%以上を胸腔鏡下手術で行っていますが、更なる低侵襲手術を目指すため、ダヴィンチ手術の学会認定指導医(プロクタ-)・専門医資格を持つ吉田(現呼吸器外科部長)の当院への赴任に伴い、保険適用となる前の平成29年11月よりダヴィンチ手術を開始いたしました。

平成30年度の診療報酬改定により、ダヴィンチを用いた「縦隔悪性腫瘍」「縦隔良性腫瘍」「肺悪性腫瘍」に対する手術が保険で行えるようになりましたが、そのためには一定の基準を満たさなければいけません。
当院はダヴィンチを用いた呼吸器外科手術では全国でも有数の施設であり、保険適用となるために必要な施設基準を長野県内で初めて取得しました。
保険適応となるのは肺がん、縦隔腫瘍に対する手術ですが、現在までに呼吸器外科チーム全員がダヴィンチ手術を行える資格を取得し、トレーニングを積んだ手術スタッフと共に順調に症例を重ねています。

胸腔鏡手術

内視鏡を用いた鏡視下手術は低侵襲手術の代表格とも言え、当科で行われる手術のほとんどが鏡視下手術です。
胸腔鏡手術とは胸部で行う鏡視下手術のことで、専用の手術機器を使って、全身麻酔下に1㎝-3㎝の数か所の創で手術を行います。

実績

手術件数

当科における主な手術対象は肺がんです。
2017年は原発性肺癌82例、縦隔疾患10例、気胸29例、その他28例の手術を行いました。


ダヴィンチ手術

肺がん2例、縦隔腫瘍4例(2018年4月26日時点)

今後の予定

標準治療から、高度医療まで幅広く提供できることを目標としています。
今後も診療内容の更なる充実をはかり、地域医療機関、住民の方々のご要望に応えていきたいと考えています。

サイトマップ
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