科の紹介

呼吸器外科では心大血管および食道を除く胸部疾患(肺癌、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍、自然気胸など)の外科治療を行います。特に肺癌については、呼吸器科とのカンファレンスで方針を決定するチーム医療を実践しています。肺癌に対する肺切除術、胸腺腫や重症筋無力症に対する胸腺摘出術なども、胸腔鏡を用いた低侵襲な手術を積極的に行っています。

【手術実績】

 当科における主な手術対象は肺がんです。2014年は原発性肺癌47例、縦隔疾患6例、気胸11例、その他25例の手術を行いました。
 

【原発性肺癌】

<肺癌切除例と手術成績>

2006年~2014年12月の当院における肺癌切除例は258例で、平均年齢69.1歳(35~88歳)、性別は男性62%、女性38%、組織型は腺癌が67%、扁平上皮癌23%、その他10%です。術死(術後30日以内の死亡)2例(0.8%)、術後30日以降の在院死5例(1.9%)で、主な死亡原因は間質性肺炎の急性増悪と肺炎でした(2010年全国集計:術死0.4%、在院死0.4%)

<胸腔鏡下肺葉切除>

標準術式は肺葉切除(図)およびリンパ節郭清で、進行癌などの症例を除き、胸腔鏡下手術を行っています。通常、4カ所の小さな傷で手術を行います(写真)。最近約3年間に行った完全胸腔鏡下肺葉切除68症例では、標準的な手術時間約3時間(174分)。出血量50g、術後在院日数は7日でした(いずれも中央値)。

 

図:肺がんの切除法
図:肺がんの切除法
(ハンドブック よくわかる肺がん より)
写真:手術跡
 
<術式>

全切除例の内訳は、肺葉切除 187例(72.5%、うち多臓器合併切除・血管形成・気管支形成などを伴うもの18例)、区域切除41例(15.9%)、楔状部分切除24例(9.3%)、全摘3例(1.2%)、その他が3例(1.2%)でした。2010年全国集計との比較において、当院では部分切除が少なく、区域切除が多い傾向です。
  
 

<病期別の割合>

 病理病期(術後に確定した病期)別の割合はⅠA-ⅠB期67.9%、 ⅡA-ⅡB期13.8%、ⅢA-ⅢB期15.4%、Ⅳ期:2.8%です。全国平均(2004年肺癌外科切除例の全国集計)と比較すると、やや早期癌が少なく、進行癌が多い傾向です。
 

【縦隔疾患】

  腫瘍性疾患では前縦隔腫瘍で最も頻度の高い胸腺腫や、神経鞘腫などの神経原性腫瘍が切除の主な対象疾患となります。良性の嚢胞性疾患(胸腺嚢胞、心膜嚢胞、気管支原性嚢胞など)も、経過で著しく増大する場合などでは手術適応となることがあります。他に重症筋無力症に対する胸腺摘出術も行っています。胸腔鏡下手術を積極的に取り入れ、低侵襲な手術と早期退院を心掛けています。

【自然気胸】

 若年痩身男性に好発し、肺尖部の気腫性肺嚢胞(ブラ:肺の表面に生じる風船状のふくろ)が破れることで発症します。胸腔ドレナージ(肋骨の隙間から胸にチューブを挿入する)により、萎んでしまった肺を再膨張させる治療を行います。一部の症例では入院せずに携帯式胸腔ドレナージキット(ソラシックエッグ®)を用いた外来治療も可能です。胸腔ドレナージで改善しない場合や、頻回・短期間で再発する場合は手術をお奨めします。手術は胸腔鏡下ブラ切除および再発予防のためのcovering法(吸収性のシートで肺表面を覆う)を標準治療としています。順調に経過すれば術後2-4日程度で退院可能です。
  
                                              2015年3月更新     (文責:呼吸器外科 濱中一敏)

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